車両更新の謎に迫る

「見た目は同じなのに、なんか加速するときの音が違う気がする」

そう思った経験はないだろうか。実は、同じ見た目の電車でも、制御装置やモーターが異なる場合があり、それらの違いが加速音の違いを生み出しているのだ。

両得10系を例にすると、例えば900番代の場合、津喜側の電動車と永京側の電動車で制御装置のメーカーが異なっている。

制御装置を製造するメーカーは国内外にいくつかあるが、もちろん各メーカーによって設計が異なっている。そして、加速時の音も異なっている。

「シュワー」という感じの加速音の装置もあれば、「キーン」や「ウィーン」という感じの加速音の装置もある。

同じメーカーの制御装置でも、製造時期や型番によって異なることもある。1990年代の制御装置と2010年代の制御装置は、加速音だけでなく、その静かさ、さらに装置の大きさも異なる。装置は年々低騒音、そして小型化しているが、これは技術進化の賜物だ。

さて、近年主に用いられる制御装置「VVVFインバータ」は、パンタグラフで集電した直流1500V(両得電鉄の場合)を交流モーターを動かすために交流電気に変換する装置だ。この装置には半導体が用いられており、その半導体技術は日々進歩している。

半導体技術の進歩は素晴らしいことであるが、一方で電車を走らせる側としては少々悩ましい事態をもたらす。というのは、開発されてから年数が経った制御装置は、製造が終了してサポートが切れてしまう。この年数は津喜製作所の場合、15年とされている。しかし、車体は40~50年も持つので、制御装置のサポート終了時点で電車を廃車にしてしまうのはもったいない。

そこで、両得電鉄やNTR今北などの鉄道では、制御装置のサポートが終わる時点で機器更新を行なっている。機器更新を行えば、新たな制御装置のサポートが終了する時点まで問題なく運行できる。また、余剰になった古い制御装置をスペアパーツとすることにより、サポート終了後もしばらくの間は対応できる。

一部の鉄道では劣化しやすい箇所や老朽化した部分だけを交換し、引き続き使える箇所はそのままにするやり方で制御装置の寿命を延ばしていることもある。予算的には有利だが、車両数が多い場合は丸ごと取り替えた方が保守の効率化に有利とされる。というのは、同じ装置でも車両によって老朽化対策済車両と未対策車両が混在すると、管理上不利であり保守部門も嫌な顔をしてくるのだ。

また、現在更新時期を迎えている1990年代後半~2000年代前半頃の車両は、一部機器の二重系統化がされていないケースもある。そこで、制御装置の更新により機器の二重系統化も行うのだ。

車両更新の手順

かつての車両更新は、車体の改修やリニューアルが主だった。しかし、近年は最初からバリアフリー対策を行った車両が更新時期を迎えていたり、前述の通り制御装置の寿命が短いこともあり、制御装置など一部装置のみを更新することが多い。

両得電鉄の車両更新手順は、同じく多くの車両を保有するNTR今北のやり方を参考にしている。例えば、更新工事の内容を減らすことにより、あまり大規模な改造ができない工場でも更新工事を行えるようにしている。また、内装は元々完成度が高い場合が多いので、極力そのままにしている。

更新工事の対象となるのは、制御装置のサポートが切れた車齢16年~20年程度の車両である。2018年時点で対象となっているのは、80系50番代、10系0番代などだ。

これらの車両は各所にある車両工場で更新工事を行う。機器更新のみの場合は規模が小さい工場で行うこともあるが、車両の転用工事を行う場合は三城や草深の総合車両センターで行うことが多い。2006年から行われたいた80系0番代の更新工事では、余剰中間車を先頭車化改造する工事が行われることもあった。近年はドア配置の都合で中間車の先頭車化改造は行われていない。

コラム ドア配置

近年両得電鉄に導入された車両は、先頭車のみ一部箇所のドア配置が異なっている。それは車内の座席配置で例えるとわかりやすいのではないかと思う。中間車の場合3−7−7−7−3という座席配置であるが、先頭車は乗務員室−6−7−7−3という座席配置だ。乗務員室後ろだけが6人がけなのは、乗務員室の奥行きを広く取っているからである。

近年の改造技術をもってすれば、ドアを移設して本来の先頭車にドア位置を合わせる改造は可能である。しかし、改造には時間がかかるため、それなら新車で置き換えた方が楽なのだ。

工場に入場した車両は、VVVFインバータ制御装置を最新型に交換。また、ドアエンジンなどそれ以外の装置も一部交換される。また、2018年からは車内のLED表示器を小型LCDに交換する工事も行われている。小型LCDは元々付いていたLED表示器のサイズに合わせてあり、情報伝達回線もそのまま流用が可能。ただ交換するだけで情報表示量を増やせる。

更新工事が完了すると、車両は試運転を行った後、元の路線、あるいは転用先路線で再び運行される。

両得電鉄やNTR今北の車両更新工事は、他の鉄道で行われている工事よりも小規模といわれるが、これは効率を追求した結果である。通勤電車は一人当たりの客単価が低い。そのため、更新工事の期間を出来るだけ短くして、すぐ本線復帰できるようにした方が良い。

特に規模が大きい鉄道の場合、少しのロスでも積み重なって大きなロスに繋がる。両得電鉄やNTR今北は、規模が大きいからこそ、時間や費用などのロスに対して厳しいのだ。


※当ページの内容はフィクションです。

当ページ最終更新日 2018年09月03日

当ページ公開開始日 2018年09月03月