北萩線 編

北萩線の歴史は準備中です。


北萩線の起点は津喜じゃない!?

 データでしか北萩線を知らない人は、北萩線の起点=鹿居としか知らない。でも、北萩線の列車はほとんど津喜を起終点としている。

 

 だから、北萩線のデータを知らない人は、北萩線の起点=津喜ということしか知らない。実際津喜駅には「北萩線北萩方面」という案内表示があるし、日中に鹿居方面へ向かう電車は大体北萩線の電車である。

浜実

 北萩線の駅あるあるの中で、最もポピュラーなのが「遠くに煙突が見える」である。浜実駅もやはり遠くに煙突が見える駅だ。

 各駅停車しか止まらない駅ではあるが、各駅停車の本数が多くて鹿居の隣駅である。駅周辺にはたくさんのマンションがある。当然利用客数も多い。

 駅は2面2線。東側にはNTRの浜実駅がある。ホームには一通り近代的な駅に必ずあるような電光掲示板やエレベーターなどの設備が備わっている。しかし、狭い。端の方は特に狭くて、人がすれ違うのがやっとという有様である。おかげで、朝ラッシュ時は改札口付近に人が集中してしまう。

 西口の駅前には駄菓子屋さんがある。この駄菓子屋さんは1960年代から続く店であり、現在は二代目のおばちゃんが切り盛りしている。中に入ると、昔懐かしい派手な色のチョコだとか、「無果汁」だとはつゆ知らず食べていたさくらんぼ風味の四角いやつだとかが並んでいる。ここのおばちゃんは「叱るべきことは叱る」というタイプのおばちゃんで、親からの評判も概ねいいという。

 ただ残念なことに、歳をとって店を切り盛りするのが難しくなってきたということで、今年度いっぱいで店をほかの人に譲るという。

 「もう私は卒業。小学生は6年で卒業だけど、私は一体何年やってきたんだろうね(笑い)」

 

 ちなみに、店を継ぐことになったのは、かつてこの駄菓子屋さんにお世話になっていた20代の若者だという。来年の春からは、きっとこの若者たちの悪戦苦闘の日々が始まることとなるだろう。

八宿

 津喜臨海鉄道神宮線が上を走る2面4線の駅。この駅で急行の通過待ちをする各駅停車は多い。そもそもこの駅を通過する列車も多い。

 回りは浜実同様マンションが多いが、ある一角は一軒家が多い。かつて一面田畑が広がっていたころから住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんが主に住んでいるというが、その方々がひいきにしている電気屋さんが東口にある。

 「デンキの辻」は、1959年創業。現在は三代目が店を切り盛りしている。三代目が店を継いだのは5年前。30歳のことだった。

 「前の父ちゃんは頼りになったけど、この若造はなぁ」

 こういうことを言う人が結構多かったという。けれど、日々真面目にそして優しく仕事を続け、今では「やっと一人前に近づいたな」と言われるようになったとか。

 近所に家電量販店があるが、この近くに住むおじいちゃんやおばあちゃんは口をそろえて言う。「デンキの辻がいいよ」と。デンキの辻の自慢は、アフターサービスである。電話一本で駆けつけ、トラブルを解決したり、新しい部品を持って行ったりする。辻さんは「当たり前ですよ」というが、なかなか大規模な店だと難しい。そんなことをやっているからこそ、評判が良いのだろう。

 

 ちなみに、2008年から2013年の間、「辻」の左上の下の点が黒いガムテープで書かれていたという。これは元々左の点が一つの方の字を用いていたからである。

 

 

睦井

 「睦井は急行止まるからいいよな」

 睦井は北萩線の途中駅で最も便利な駅の一つだろう。駅も4面7線と規模が大きい。これは古房急行の始発駅でもあるからだ。

 北萩駅の周辺は、マンションだけではなく駅前に商業施設がある。最も大きいのは「リヒト睦井店」だ。その近くに、模型店「睦井模型」がある。

 「睦井模型」の入口には、鉄道をはじめ戦車、ロボット、車など様々な模型が置かれている。しかし、取り扱っている商品は9割が鉄道模型なので注意しなければならない。実際、この店を訪れ戦車の模型を買おうとしたら、「Nゲージの線路を走れる」戦車しかなかったというエピソードがある。

 戦車がないなら車は…… と油断してはならない。車も、タイヤ部分が車輪になっている保線用みたいな車だったり、バスの下に台車が付いているものだったり…… おそらく店長が既製品を改造したと思われるものしか売られていない。

 「そもそも俺は鉄道模型を買うから問題ない」

 いやいや、睦井模型は甘くない。睦井模型にある鉄道車両の模型は、青系の塗装の模型しかない。赤い鉄道車両の模型はないし、さらにステンレスカーの鉄道模型もない。さらに、レールやホームなどもなく、本当に青い鉄道車両の模型しかないのである。ちなみに、車(のようなもの)も青い。さすがに戦車(Nゲージ対応)は迷彩色だった。

 果たして、こんなんで店をやっていけるのかが不安になるが、店主にとって鉄道模型屋は副業だという。本業は一体何をしているかよくわからないのだが、噂では「たばこ屋」だとか、「八百屋」だとか言われている。

 真相を確かめるべく店主に聞くと、店は赤字だという。しかし、そもそも仕入れることがほぼないので月々の赤字額は少なく、たばこ屋を営んでいる兄がいつも料理を食べさせてくれるということで、なんとか生きていけているそうだ。

 

北萩線が登場する日記

青年K 2017年10月6日の日記

 薄明るい夜は、雨だった。こういう日に限ってスーツなのは運が悪かった。でも、雨の日が来るといつも楽しみにしている光景を見ることができて良かった。

 いつも楽しみにしている光景…… 光に照らされて輝く濡れた地面のことだ。街灯、自動車のライト、信号機。この三つは、雨の日の舞台照明となる。

 今日はいつもより20分くらい後の電車に乗った。まだ夜と言えるかどうかわからない時間ではあるが、雲は薄暗く、街の明かりがはっきりと光って見える時間の事である。やってくる電車はいつもと同じ形をしているが、濡れたボディーを見ると、しんみりする。

 「次は、浜実、浜実です」

 車内アナウンスを車掌が行う。深夜の国際ニュースを読み上げる女性アナウンサーのような声をした車掌だった。少し小さめの声だったが、暗くて雨が降る中を走る電車の雰囲気に似合っていた。

 いつものようにスマホを見つめる。でも、目線は昨日と違う。晴れた日は見向きもしない車窓を、久しぶりの雨ということで、でちらりちらり眺める。ぼーっとしていると、最近好きになってきている人のことが思い浮かぶ……

 時が経つのを忘れ好きになってきている人のことを考えていると、電車がいつの間にか地下区間に入っていることに気が付いた。

 「次は、終点、津喜、津喜、2番線に到着いたします」

 

 果たして今日は、人生の中で何番目に記憶に残る日だっただろうか。

※当ページの内容はフィクションです。

当ページ最終更新日 2017年10月6日

当ページ開設日 2017年10月6日