両得電鉄 80系

80系0番台

 1980年代、両得電鉄ではより高性能な電車を実現するため、当時最新鋭の装置だった「VVVFインバータ制御装置」のテストを1983年から行っていました。このテストは20系の6連1本を用いて、両得本線(当時)や津古線などで実際に営業運転しながら行いました。。

 テストの結果、1985年当時計画されていた新型通勤電車にこの制御装置を採用することになりました。その新型通勤電車というのが、後の80系0番台です。

 「VVVFインバータ制御」は、わかりやすく説明すると従来より少ない電力で電車を走らせられるうえ、乗り心地もよくすることができる制御装置です。この制御方式では電動機回転数の制御を事実上無段階にすることができるため、加速時の衝動を抑えることができるのです。また、細かいトルク制御で粘着力向上もでき、編成あたりの電動車比率を下げることも可能です。

 80系は今まで20系が担ってきた地下鉄直通運用と、50系が担ってきた近郊区間運用の両方に対応する電車として開発されました。また、両得本線(現:津喜線)のライバル、両武快速線へ対抗するため、営業最高速度を120km/hにする必要がありました。

 そこで、電動車比率は従来と同じ6M4T(10両あたり電動車6両、付随車4両)のままとしながら、高性能なVVVFインバータ制御装置(太平電機または津喜電機(当時)製)を採用することで、最高速度120km/h、加速度3.3km/h/sの両立を実現しました。

 80系が登場したのは1988年のことです。運行開始の際には両得本線(当時)、浦原線(当時)、古林線(当時)などで試運転を行い、誘導障害で保安装置などに影響が出ないかなどを数ヶ月間、事前に確認しています。

 走行機器だけでなく車内設備も70系に比べて充実させています。ドアの上にはLED式の情報案内装置を千鳥配置(1994年度以降はすべての旅客用側面ドア上に設置)しているほか、座席幅を若干拡大させ居住性を改善させています。また、車体そのものも70系50番台に比べて強度を増した作りとなっています。

両得本線速達化に貢献

 1988年度から1994年度にかけて、10連70本が三城車両基地に集中導入されました。目的は両得本線急行の最高速度120km/h運転化です。ライバルの両武快速線に対抗するために行われた取り組みですが、1995年3月のダイヤ改正ですべての急行電車が120km/h運転を行うようになり、三城車両基地への導入は一段落しました。

 1988年度 三城車両基地に10連10本

 1989年度 三城車両基地に10連18本

 1990年度 三城車両基地に10連8本

 1991年度 三城車両基地に10連10本

 1992年度 三城車両基地に10連16本

 1993年度 三城車両基地に10連5本

 1994年度 三城車両基地に10連3本

古林線への導入

 1995年と1996年には、古林線スピードアップを目的に、10連12本が導入されました。

 1995年度 草深車両区に10連10本

 1996年度 草深車両区に10連2本

ワイドドア車

 1996年度には、両得本線の混雑緩和を目的に、ワイドドア車が試験的に3本導入されました。このワイドドア車はいずれも三城車両基地に配置されましたが、ホームドアに対応していないことから、2011年に2本が6連化され樫葉車両センター(衣昇線系統)に転属しました。また、残りの1本は新技術テスト車両「N-Train(80系950番台)」に改造されています。

 N-Trainの登場目的は工場の技術維持と新技術のテストであり、ドア幅短縮、SiCハイブリッドモジュール適用VVVFインバータ制御装置(2013年以降)、車両情報管理システム「IN-RIMS」の採用が行われました。

 1996年度 三城車両区に10連3本

 2011年度 10連2本が6連化されて樫葉車両センターに転属

 2011年度 10連1本が8連化されて「N-Train(80系950番台)」に改造

N-Train(80系950番台)

 2015年度には試験線用車だった「N-Train(80系950番台)」が、改造された上で草深車両センターに転属。津古線で営業運転を行うようになりました。なお、この際に制御装置を30系と同じSiC-VVVFインバータ制御装置に更新しています。特殊仕様の車両であることから、基本的には予備車として扱われているようです。2020年11月現在も草深車両センターに在籍しています。

津古線転用後の姿。

姉妹車

T20系

 津喜みなと鉄道にも「80系500番台」として導入された(現在は両得電鉄に移籍済み)。

 1991年には津喜急行電鉄に共通設計のT20系が10連3本導入されました。また1994年には、同年開業した津喜みなと鉄道に80系500番台(0番台と共通設計)8連2本が導入されています。

転用改造

 2002年時点で三城車両基地に10連70本、草深車両区に10連12本が在籍していましたが、10系100番台及び10系0番台の導入に伴い、2007年度までに10連67本が転用されました。この際、10両編成を6両編成などに短縮したことから中間車が余剰となり、中間車を先頭車に改造した車両が登場しました。

 2003年度は10連5本(50両)、2004年度は10連18本(180両)の合計230両が転用されました。菊園車両区(得原本線)に6連21本(126両)、4連3本(12両)、2連13本(26両)の合計164両、海浜車両区(ベイコネクト線)に10連6本(60両)、昇田車両区(衣樫線)に6連1本(6両)が転用されました。

 2005年度は10連18本(180両)が転用されました。海浜車両区(ベイコネクト線)に10連12本(120両)、遠青線には6連10本(60両)が転用されています。

 2006年度は10連20本(200両)が転用されました。海浜車両区(ベイコネクト線)に10連2本(20両)、昇田車両区(衣樫線)に6連15本(90両)、仁江車両区(北萩線)に8連11本(88両)が転用されています。また、中間車2両1組が余剰車となりました。

 2007年度は10連6本(60両)が転用されました。仁江車両区(北萩線)に8連1本(8両)、遠青線に6連9本(54両)が転用されています。

 合計で、菊園車両区(得原本線などを管轄)には2007年度までに6連21本(126両)、4連3本(12両)、2連13本(26両)。遠青線には6連19本(114両)、衣樫6連16本(96両)、仁江8連12本(96両)、海浜10連20本(200両)が転用されました。

 2007年度時点では、三城総合車両センターに10連7本、草深総合車両センターに10連8本が在籍していました。

 2007年度は三城総合車両センターに10系100番台10連11本、草深総合車両センターには10系100番台10連11本が導入されました。これに伴い、三城総合車両センターの10連4本、草深総合車両センターの10連8本、合計10連15本(150両)が転用されることになりました。

 10連3本は8連に短縮され、草深総合車両センターの津古線用編成となりました。また、10連12本は8連化のうえ菊園車両センターに転用され、得原本線用編成となりました。一方で、三城総合車両センターに残っていたワイドドア車は、この時点では転用されませんでした。

 ワイドドア車は2011年度に10連3本が置き換えられました。うち2本は6連に短縮のうえ昇田車両センターに転用されました。もう1本は8連化されて「N-Train(80系950番台)」に改造されました。

 これをもって当形式の大規模な転用は一段落しました。

更新工事

 両得電鉄では、2005年より「製造後16年から20年程度で制御装置を更新する」という方針が適用されることとなり、80系0番台(1988年度登場)にも適用されることになりました。そのため、登場から18年が経過した2006年から、制御装置の更新工事が順次施工されていきました。

 更新工事では制御装置のIGBT-VVVFインバータ化(大洋製)と、一部機器の二重系統化が行われました。そのほか、半透明の袖仕切りを追加で設置しており、風よけ・寄りかかり対策としています。

 2008年度から2017年度にかけて、全編成で更新工事が完了しました。

80系0番台の内装


※このページの内容はフィクションです。

当ページ最終更新日 2023年06月15