1350系

 1350系は、NR富原が1988年から1992年にかけて導入した近郊型車両です。NR富原として初めての独自開発車両でもあります。片側3ドアの鋼鉄製車体に、転換クロスシートを備えた快適な車両で、それまで運行されていた長距離客車列車を置き換えるために導入されました。

特快の看板車両として

 NR富原では、1985年に本州よりも早く行われた鉄道民営化以降、列車の運行本数を増やす取り組みを行ってきました。この取り組みは広島などで行われていたものを参考にしたもので、それまでの長距離旅客列車が1時間に1本+短距離列車が1時間に数本というダイヤを、15分パターンダイヤに改めて電車化することで利便性を向上させるものです。

 この一環として、1990年度から富原本線と瀬津本線で快速よりも速い「特快」の運行を開始することになりましたが、このための看板車両として使えるような設計となりました。

 車体は鋼鉄製です。1985年から導入されていた1320系のようにステンレス製とすることも検討されましたが、短期間で多くの車両を導入したかったことから製造コストの比較的低い鋼鉄製とされました。また、塗装車体とすることで車両の見栄えを良くする意図もあったようです。また、通勤型車両しか走らない区間の一部が拡幅車体に対応していないことから、車体は通勤型車両と同じ規格のストレート車体となりました。

 一方で制御装置は1320系と同じものを採用しています。当時はすでにGTO素子のVVVFインバータ制御が実用化されている時期でしたが、大量に導入しなければならない事情から不具合が発生することを嫌ったことや、もうすこし様子を見てから導入したかったことから採用が見送られました。

転属

 1350系は1992年度までに富原本線、瀬津本線に集中導入され、計画通り特快や快速の運用に入りました。また、客車列車が一部を除いてこの車両に置き換えられ、客車よりもドアの数が多いこの車両は混雑緩和にも役だったようです。しかし、1993年度からはGTO-VVVFインバータ制御を採用した1352系が導入され、特快の最高速度を130km/hに引き上げることが計画されるようになりました。2001年からは1354系も登場し、130km/h運転に対応できる車両が増えたことから、2005年3月のダイヤ改正で富原本線、瀬津線の特快運用から撤退することになりました。

 余剰となった車両は、上原エリア平磯エリアに転属しました。特に平磯エリアは2005年から2008年にかけて輸送改善計画が行われることとなり、客車列車の全廃を目指して電車化を進めていたことから、この車両が重宝されたようです。

現在

 大半の車両が平磯エリアに集められています。瀬津本線や塩見本線、京口線などで運用されており、特に平磯と瀬津の間を結ぶ快速列車の運用は好評です。登場から30年以上が経過しました、スピード感のある80年代後半らしいスタイルと、軽快に走る姿からはその経年をさほど感じさせません。より古い1312系も未だに活躍していることもあり、これからもこの車両の姿を見続けられそうです。


※当ページの内容はフィクションです※

当ページ最終更新日 2022年06月12日

当ページ公開開始日 2022年06月12日